GoogleとMSの優位性の違い

このニュースをGoogleが打ち出す便利な一機能として捉えるか、それともMSへの戦いの序曲(CNETのこの記事(CNET Japan - 米グーグル vs 米マイクロソフト- デスクトップ上で一騎打ち)のように)捉えるかによって全然意味合いが異なってくる。

最近、本棚を整理した際に、マイケル・ルイス( Michael Lewis)がジム・クラーク( Jim Clark)とシリコンバレーの文化(内幕?)を描いた Amazon.co.jp: 本: ニュー・ニュー・シングを発見したため、読んでいる(この本については梅田さんの「ニュー・ニュー・シング」を読もう, 「ニュー・ニュー・シング」の魅力とシリコンバレーの本質が参考になる)。

その中に、ジム・クラークが「MSは料金回収所を握っているが、ネットスケープは持っていなかった」という下りがある。MSは昔も、今も変わらずデスクトップという料金回収所を持っている。ユーザーは必ずここを経由しなくてはならない。ではGoogleはどうだろう?Google検索エンジンという料金回収所を持っている。今のところ、非常に優れた仕組みを実現しているからこそ、この料金回収所を維持できている。

そのGoogleが、デスクトップという料金回収所と検索エンジンという料金回収所をあわせて取っていこうとしているように見えるのが、このデスクトップ上での検索ではなかろうかと思う。

今デスクトップからの検索はローカルデータの検索に限られる。ではこの検索の先がMSN searchになる世界が、MSがデスクトップと検索エンジンを組み合わせるアプローチということになる。

この両社のアプローチを比べると、何故だか敗れたネットスケープをイメージしてしまう。OSのバージョンが上がるたびに機能追加、ひょっとしたらパッチが当たったら機能追加みたいな事態になるかもしれない。デスクトップを意識すれば常にMSの影におびえることになる。先のジム・クラークは同書の中で「MSがいないところを狙う」ポリシーを貫いている。ここが、デスクトップを支配しているMSと支配していないGoogleの違いだ。

Googleにとって一番起きてはならない自体は、彼らの最大の強みである検索エンジンの性能面での比較優位の喪失である。この料金所を破壊する一番の脅威はやはりMS、特にMSN Search及びMSの検索技術全般ということになろう。この料金所が少しでも脅威にさらされた場合、Googleの優位は崩れることになる。当然のことながら、Googleの素晴らしく優秀な人たちはこのことを当然認識しているからこそ、Google Labsで常に革新的なコンセプトを打ち出しているのだろう。

では一方のMSはどうか。Googleがデスクトップに進出してきたからといって、その出口はインターネットにあるGoogle検索エンジンに過ぎない。MSのデスクトップ上での優位性が少しも色あせることはないのである。うるさいハエが増える程度のことだ。

この対照が、MSがこれからも不断の努力を継続していけば(そういう企業文化だ)彼らの料金回収所は生き残り、Googleは常にMSの検索実装に恐怖を感じなければならない理由であろう。

参考:yublog: MicrosoftとGoogleはライバル?