GmailでGoogleは何をしたいのか。

昨日のMTGで一気に考えがまとまった。あくまで仮説ですが「Gmailで何がしたいのか」について。
#長文失礼。妄想失礼。

(1)Gmailでやりたいこと。

Gmailは、今後次のようなステップを踏んで進化していくと思われる。
1.ウェブメールとして登場
2.POP対応でコンスーマー・マシンに登場

1.ウェブメールとして登場
(単独コンテキスト)-Adsense的アプローチ。ウェブページとしての、メールを見て文脈から適切なAdwordsを画面に表示する。
(パーソナライズ)-メールの送受信を繰り返すことで、個人の癖が出てくる。これに合わせて、更にAdsense2(Adsenseと個人のメール送受信履歴を組み合わせたパーソナライズされたAdsenseを導入する)によって、コンテキスト広告であるAdsenseをブラッシュアップ。
(広告の不可視化)-Adsense的な「テキストを独立ボックスで表示する」アプローチを廃止。テキスト広告は自然に文章の中に組み込まれる。広告のリンク表示が色等によって、区別されるようになる。GoogleAdsenseのリンクはオレンジで、オリジナルリンクは青という区別がされるようになる。

2.POP対応でコンスーマー・マシンに登場
(コンスーマー・マシン上のメーラーへの円滑な移行)-HTMLが読み込めるのがメーラーでは当たり前。ということは、Gmailがウェブで、ウェブメールとして提供しているサービスはそのままメーラー環境でも実現できるということになる。

これによって、Googleは「検索エンジンのパーソナライズ」と「Adwordsによる広告収入増大(露出チャネルが増大する)」の二つの目標に対して前進することができる。

(2)なぜ今Gmailか。

Googleの経営陣は、NetscapeMicrosoftに徹底的に消されたことを記憶している。そして、自分たちも優秀だが、Microsoftもそれ以上に優秀(かもしれない)と認識している。

恐らく、GoogleMicrosoftと自分たちを比較して次のように考えているだろう。
GoogleにとってのOSは検索技術(PageRank)。
・アプリケーションは、AdwordsAdsenseGmail
MicrosoftにとってのOSはWindows
・アプリケーションは、Office。
・インターネットを仕切るのはGoogle
・コンスーマー・マシンのローカルを仕切るのはMicrosoft

どちらも検索エンジンに力を入れていこうとしている。そして両者の現在のアプローチは次のようなものだろう。

Microsoftは、Longhornでコンスーマー・マシンのローカルにある膨大な「オフライン文書」をインデックス化し、様々な指標で分類する。利用者は様々な指標でソートし、検索結果を狭めた上で、Microsoftの検索技術で検索を高速に行うことができる。

Googleは、PageRankを中核にした検索エンジン技術でインターネットになる「オンライン文書」をインデックス化している。Bloggerを買収し、Orkutに検索をかけられるようにすることで「オンライン文書」の検索絞込み、効率的な検索結果の返答に磨きをかけている。

そして今後はこのような形だろう。
Microsoftは、MSN Searchに代表されるオンラインの検索エンジンサービスを洗練していく。しかし、彼らの軸足は彼らが支配している「オフライン」であり、オフラインからオンラインへの検索がMicrosoftしかできないことだ。Windowsの検索ボックスに検索語を入れるとオフライン、オンラインの順序で該当文書が表示され、同時にこの検索結果の順序はパーソナライズがよりかかったもので表示されている。

Googleは、オフラインのアプローチを持たない。しかしながら、ウェブ技術の発展、エンドユーザーのオンライン化、ブロードバンド化の急速な進展と共に多くのアプリケーションやサービスはオンラインで提供できるようになってきている。Googleは、その中でも最も個人が情報をやり取りし、価値の高い情報蓄積地を探した。結果がメーラーだった。だからこそ、メーラーをオンラインにし、これまで実現できなかった「検索結果のパーソナライズ」という壮大な夢に向けた実験としてメールの履歴把握によりパーソナライズをかけたAdsenseGmailで実験する必要がある。これが実現されれば、MicrosoftLonghornで実現しようとしている「検索結果のパーソナライズ」の土壌における重要な部分を奪うことができる。

(3)二匹目のドジョウはいるか?

GmailGoogleだからこそできるサービスであることは疑いようが無い。Adwords、それに基づくAdsenseがあるからこそ生きるサービスだ。

では、似たようなアプローチを新興企業ができないのか、というとそういうわけでもなさそうだ。確かに分散コンピューティングのアプローチを用いたGoogleの検索技術のコスト優位性、このコスト優位性を横展開して行われているGmailに関しては圧倒的な優位性があることも理解できる(CNET Japan Blog - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:Googleの本質は新時代のコンピュータメーカ)。

だがアフィリエイトプログラムとGmail的発想を組み合わせることで、日本の新興企業もできることはあるのではないかという仮説を自分は持っている。

例えばAdsenseは洗練されたサービスである一方で、Amazon楽天アフィリエイトはお世辞にも洗練された仕組みには見えない。そしてそれを効率的に行うことのできるAPI公開とつなぎこみを行うためのウェブサービス周りを見ても、まだまだ洗練されてない。私がいう洗練されているものというのは、誰でもその恩恵に与れるサービスを示す。そこで、アフィリエイトは発展する可能性があると思うのである。ただ、まだここで書ける段階まで整理されていないので、そのうちに。

(4)参考資料
グーグル、野望もギガバイト級?--Gmail発表にさまざまな反応 - CNET Japan

Gmailがぞっとするわけ - CNET Japan

CNET Japan Blog - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:Googleのe-mailサービス参入の意味

CNET Japan Blog - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:e-mailへの参入は変わり始めたGoogleの新たな挑戦

CNET Japan Blog - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:Googleの本質は新時代のコンピュータメーカ