Winnyから見る「イノベーションってなんだろ?」

くまをとる

今でも、仲間内の間では、FTTHを使い切ることのできるアプリケーションはwinnyしかない、と話している。winnyは、初めてネットワークを「生かし切る」分散アプリケーションなのである。

結局ブロードバンドらしさをユーザーが体験できる。それは常時接続性と高速性の二つに細分化されると思うが、そのどちらもがWinnyでは感じることができたわけだと思う。
著作権保護されているコンテンツを流通させるファイル共有という手段は、多くのユーザーにとって禁断の果実であったと。禁断の果実は非常にうまそうで、だから何か裏がありそうだ、やばい、でも耐えられなくてやってしまうという性質のものだと考える。

禁断の果実は常習性が高く、故に他の言い方では「キラーアプリ」と呼ばれることもある。

P2Pの中でもファイル共有は、図抜けた人気と、それに伴うユーザー数を抱え込んでいった。合法的なサービス、例えばGrooveみたいなものはファイル共有が発揮した強力な求心力はない。

はてなダイアリー - winny.info別館

Winnyの技術的側面を膨大な時間をかけておっかけてきたaki@winny.infoさんの意見にほぼ同意。

個人的な考えとしては、倫理的に間違っている部分はあれど、逮捕はおかしい、という立場です。


以下、自分がJnutella.orgでやってきたことに基づいて、47氏逮捕について感じた違和感について某MLでの文章を転載してみます。

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Jnutella.orgでは、Skyleyの梅田さんがGnutellaプロトコルとMANETのプロトコルから、JPPPというモバイルアドホックプロトコルを作りました。
私もドキュメンテーション作成に携わっていました。
ファイル共有ソフトであるGnutellaの優れたルーティングプロトコルを参考にして、日本からその当時先進的だった独自のモバイルアドホックプロトコルが生まれたのです。これってすごいことだったんじゃないかと思ってます。#SkyleyのDecentraにもJPPPは搭載されています。

Gnutellaというファイル共有ソフトがなければ、JPPPは生まれませんでしたし、アドホック環境を容易に実現できるDecentraというミドルウェアも生まれませんでしたし、Skyleyという会社も生まれませんでした。
更に、JnutellaというP2Pを真剣に語るコミュニティ(最盛期は3,000人以上の参加者)
も生まれませんでした。その中から、何名かの学生や研究者がP2Pを研究対象にし、論文を執筆していったはずです。

こういった活動は、技術的な進展をもって、社会に貢献したのではないのでしょうか

消費者にとってのメリットはどうでしょう?

NapsterGnutellaが無ければ、iTunesは無かったと思う。ジョブズも、これらのファイル共有ソフトと対抗するために、ソフトウェアのインターフェイスを工夫し、iTunesを、購入のフローの容易さとフォーマットの利便性を高めるべくiTunes Music Storeを作ったはずです。#どっかにソースあったけど、失念。

それによってオンラインの音楽配信は大きく前に進むことができたと思います。
NapsterGnutella以前のpressplayやMusicNetの状態を見れば分かることです。

ちょっとまとまりが無くて恐縮ですが、まとめるとソフトウェア開発を制限するって
ことはそうやすやすと行われてはまずいと思うのです。「これまでできなかったことができるようになる」というのがイノベーションだとするなら、ファイル共有というP2Pのアプリケーションの1つはイノベーションだったのかもしれないです。

ソフトウェアとしてのファイル共有ソフトウェアを制限することは「これまでできていたことをできないようにする」ということになるのじゃないか?それは、イノベーションを殺すことになるんじゃないか、と感じているのが、私が思う「違和感」なんだと思います。

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